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タバコラム117. 禁煙の日にひとこと(99)〜喫煙の害について自主学習して思ったこと〜


 タバコラム117. 禁煙の日にひとこと(99)
   〜喫煙の害について自主学習して思ったこと〜


 タバコについて何か一つ書いてみませんか?と禁煙促進チームから依頼され、研修医はチームのメンバーでもあり、喫煙の害について知識を再確認し、禁煙の取り組みの重要性を再認識したいと思い、今回書いてみました。
タバコラム117. 禁煙の日にひとこと(99)〜喫煙の害について自主学習して思ったこと〜_d0128520_16384431.jpg

 参考文献としてTHE LUNG perspectives Vol.27 No1 2019冬」(メディカルレビュー社) 特集:喫煙のサイエンスを選びました。
 喫煙の害について様々な観点からの最新の知識と情報について解説されており、喫煙の害の経済的側面や、病理的な実態、また新型タバコの問題などについて知ることができます。内容は、以下の12テーマで構成されています。

1. 喫煙が経済に与える影響
2. 我が国の禁煙活動の実情と課題
3. タバコ対策の重要性-現世代と次世代のために
4. 受動喫煙被害-問題点と将来の課題
5. 喫煙により取り込まれる有害物質と健康リスクアセスメント
6. 新型タバコの有害性と問題点
7. 喫煙による聴力障害-知られざる問題と新知見
8. 喫煙によるDNA変異シグネチャー
9. 喫煙による呼吸障害-COPD発症における喫煙の役割
10. 妊娠中の喫煙が子どもの健康に与える影響
11. 心血管病変と喫煙-注目される新知見
12. 基礎医学とのダイアローグ

 ①加熱式タバコの喫煙バイオマーカー
 ②ニコチン性アセチルコリン受容体(ニコチン受容体)と作用薬

 以上の通り喫煙に関する問題について私たちが知っておくべき情報が集められています。
 日本では来年のオリンピックに向けて新しい法律にもとづいた禁煙の取り組みが強化されており、禁煙の社会的必要性は高まっています。
 喫煙の害についての知識、禁煙の必要性を再認識するための適切な資料だと思います。
 当コラムでは以下の3つのテーマ 
  ①喫煙による害(能動、受動、サードハンド喫煙)
  ②妊娠中の喫煙の害
  ③新型タバコの有害性)

で上記12章の中から要点を紹介したいと思います。


1)喫煙による害
 2007年我国の能動喫煙による死亡は約13万人、受動喫煙による死亡は約1.5万人、合わせて十数万人の死亡が発生しています。喫煙の影響が除去されれば日本人男性の寿命は1.5%伸びると期待されています。喫煙は健康寿命短縮に関連する20疾患の14疾患に関係しています。脳血管疾患、躁鬱病、虚血性心疾患、認知症、難聴、肺癌、糖尿病などがあります。
 受動喫煙はタバコ先端から発生する副流煙(より多くの有害物質を含む)と喫煙者が吐出する呼出煙を非喫煙者が吸引することです。小児の40%、非喫煙者男性の33%、非喫煙者女性の35%が被害を受けています。2014年までの40疫学調査では全死亡は1.18倍、冠状動脈疾患死1.23倍、脳卒中死1.29倍、全癌リスク1.16倍とあり、有意に増加するとされています。
 他に広い意味の受動喫煙としてサードハンド喫煙(Third-hand smoke, THS)があります。これは、喫煙者が使った住宅、車、衣類などに残るタバコ臭に曝露されることを言い、動脈硬化、中枢神経障害などの原因になることが最近分かってきました。喫煙習慣のある家庭のカーテン、カーペットを使ったラット実験から、遺伝子損傷、LDLコレステロール、中性脂肪増加、非アルコール性脂肪性肝炎発症、血糖値増加、インスリン抵抗性憎悪、創傷治癒遅延、多動症発症などが確認されています。また内装、什器(じゅうき)に付着したタバコ成分に経口的、経皮的に曝露される乳幼児でタバコ特異的ニトロソアミンレベルが極めて高いという報告もあります。THS曝露は、乳幼児をはじめとする非喫煙者の健康を損なう可能性が高く、家屋・車内での喫煙は厳禁と考えるべきです。

2)
妊娠中の喫煙の害
 2000年以降、成人女性の喫煙率は低下を続け、2017年では29歳まで:6.3%、39歳まで:8.5%です。妊婦の喫煙率は同様の傾向をたどり2010年時点で5.0%となっています。現時点、妊婦全体の喫煙率:5%、妊娠後禁煙:13%、合わせると依然として高いが、25歳未満の妊婦では全体喫煙率:9%、妊娠後禁煙:23%であり、若年妊婦の喫煙率はさらに高く、対策のターゲットとすべきとしています。 
 また妊娠後の受動喫煙率を見ると、毎日:19.9%、稀:47.6%、合わせて67.5%2/3強)の妊婦が受動喫煙にさらされています。

 妊娠中の自身への健康被害として、睡眠障害、喘息、アトピー皮膚炎 との関連が報告されています。合併症としては、子癇前症(妊娠高血圧症候群, Pregnancy induced hypertension, PIH)、早産、切迫早産、絨毛膜羊膜炎(Chorioamnionitis, CAM)、前期破水(Prematurerupture of the membranes, PROM)などがあります。
 胎児への影響としては、低出生体重児、在胎不当過少児(Small-for-gestational-age, SGA)があります。2000年以降の研究から妊娠中喫煙によりSGAリスクが上昇、出生低体重が85170gの範囲で優位に減少することが示されました。
 また、妊娠前期での喫煙は、3歳時でのBMIを有意に増大(BMI25相当)し、小4時における同様の肥満に関連しています。また3歳時点でのう歯についても有意に関連しています。 以上のように特に妊娠前期での喫煙は本人だけでなく次世代の健康にも大きく影響しています。

3)
新型タバコの有害性

 新型タバコは、液体を加熱してエアロゾルを吸引する電子タバコと、非燃焼加熱タバコに分けられます。
 加熱式タバコは葉タバコを直接加熱し、ニコチンを含むエアロゾルを吸引するタイプ(IQOS, glo)と、低温での霧化する有機溶剤からエアロゾルを発生させタバコ粉末を通過させてタバコ成分を吸引するタイプ(PloomTECH)があります。
タバコラム117. 禁煙の日にひとこと(99)〜喫煙の害について自主学習して思ったこと〜_d0128520_16384896.jpg

 これらには多くは発がん物質が含まれており虚血性疾患リスクと一日当たり喫煙本数の関係(右図)からわかるように、発症リスクは12本という軽度の喫煙で急激に立ち上がり、その後は本数と線形的に増加します。
 この事実は有害成分の絶対量が少なくても疾患発症率は低減せず、有害性も低減しないことを意味するとしています。

 今回コラムを書きながら、改めて3つのことを思いました。
 1つ目は喫煙は医学的に健康へのリスクがあることを再認識したので、日ごろからタバコ煙を避けながら生活を送る事が重要であること。
 2つ目は現在流行中の加熱式タバコは禁煙の代替手段にならないどころか、むしろ喫煙を助長させ、健康被害を増す可能性もあること。
 そして最後に今回の投稿をきっかけとして私も医療者の一人として、喫煙の害と禁煙の重要性について目の前の患者さんのみならず、広く一般社会に向けて啓発していこうと強く思ったことです。


   禁煙促進チーム  初期臨床研修医 藤田翔平


by hiro-nishi-mc | 2019-12-13 17:16 | タバコラム