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タバコラム96.禁煙の日にひとこと(78)~喫煙とアレルギー疾患について~


 タバコラム96.禁煙の日にひとこと(78) 
   ~喫煙とアレルギー疾患について~

みなさん、こんにちは。禁煙促進チームの生田です。

インフルエンザの流行は終わりつつありますが、今度はスギ花粉症の流行期を迎えています。毎年、この時期になると、花粉症症状に悩まされる方も多いかと思います。

*花粉症とは

花粉症は、花粉をアレルゲンとするⅠ型アレルギーで、ハウスダストによる通年性アレルギー性鼻炎に対して、季節性アレルギー性鼻炎と言われています。花粉の飛散時期に合わせて、くしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉といった症状に加えて、眼の掻痒感、流涙といった眼症状を伴ってきます。

アレルギー疾患のうち、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎、食物アレルギーは多くの人が罹患するありふれた疾患で小児期に多くみられます。『アレルギーマーチ』という考え方は、アトピー素因のある小児が原因と発症臓器を異にして、これらのアレルギー疾患を発症していく現象を指しますが、遺伝的な要因と共に出生後の環境要因が影響していると考えられています1)


*アレルギー疾患と喫煙の関係

さて、アレルギー疾患と喫煙との関係はどうなのでしょうか?

 調べてみた所、Saulyte. J先生らがまとめたメタ解析の結果2)が見つかりました。喫煙とアレルギー疾患はそれほどつよい関連はないのかもしれませんが、小児や思春期の若者では、能動喫煙も受動喫煙もアレルギー疾患(特にアレルギー性皮膚炎)の増加に関連しているという事が示されていました(表1)。

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*花粉症と喫煙の関係

では、アレルギー疾患の中でも、今流行を迎えている花粉症と喫煙との関係はどうなのでしょうか?

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 表2のごとく、Lannero.E先生らの論文3)では、幼児期(生後2か月という早期)に受動喫煙に曝露されると吸入抗原や食事性アレルゲンに対するIgE感作の成立リスクを高める事が示されました。しかも、生後数か月の時期に親からの受動喫煙に曝露されると、喫煙本数に応じてIgEの感作が起きるという結果が示されました。

(花粉症の様なアレルギー性鼻炎や気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患はⅠ型アレルギーと言われますが、IgE抗体は肥満細胞や好塩基球といった細胞の表面に固着し、アレルゲンと反応する事でⅠ型アレルギーを惹起します。『感作』とは肥満細胞や好塩基球といった細胞表面にIgE抗体がくっつきアレルゲンに出会うのを待っている状態の事です。)


 しかしながら、この論文では、喫煙によってネコの毛の様な『通年性の室内アレルゲン』への感作は起こりやすくなりますが、『季節性のアレルゲン』である花粉は主に屋外で曝露を受けるため感作が成立しにくいと考察されています。

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 最後に、Skaaby.T先生らの論文4)によると、喫煙は気管支喘息の発症リスクは高めるかもしれないが、花粉症の発症リスクについては低いであろうとの事でした(表3)。どうやら、タバコの煙は幼少時期に曝露されると、小児のアレルギー疾患発症リスクを高める可能性がありますが、花粉症に関してはその影響はさほど強くないのかもしれません。

さあ、これらの論文について、皆さんはどう思われますか?

喫煙とアレルギー疾患については様々な研究があって、まだまだ議論の余地はありそうですね。

ただし、花粉症で鼻水が出て眼がかゆい時に、近くで絶対にタバコを吸って欲しくないですし、小さな子供のアレルギー発症にタバコの影響が大きいとなると一刻も早い受動喫煙対策が必要ではないでしょうか!



(
引用文献)

)馬場 実:アレルギーマーチ 小児科診療4(17):481-485.1998.

2)Saulyte.J .et al. PLOS Med2014 Mar 11;11(3):e1001611. doi: 10.1371/journal.pmed.1001611. eCollection 2014Mar

)Lannero.E.et al.Thorax. 2008 Feb;63(2):172-6. Epub 2007 Dec 18

)Skaaby.T .et al.Sci Rep. 2017 May 22;7(1):2224. doi:10.1038/s41598-017-01977-w.


    (禁煙推進チーム:総合診療科 生田 卓也)


by hiro-nishi-mc | 2018-03-23 18:48 | タバコラム
タバコラム95.禁煙の日にひとこと(77)~タバコ1日1本に減らしてもリスクは減らない!タバコに安全レベルはない!~


タバコラム95.禁煙の日にひとこと(77)
~タバコ11本に減らしてもリスクは減らない!
      タバコに安全レベルはない!~


 Hackshaw氏の論文(BMJ 2018; 360: j5855)についてMedical Tribune 2/15(2018)1面に紹介されています(写真)。

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 写真のグラフMedical Tribune 2/15(2018)より引用)にありますように、冠動脈疾患では喫煙未経験者を1として、11本でも相対リスクは男性1.74、女性2.19、脳卒中では、同じく男性1.56、女性1.46と男女とも約1.5倍~2倍高くなっています。
 120本の喫煙によって増加するリスクに対する11本の喫煙によって増加するリスクの割合(調整後過剰相対リスク)も、冠動脈疾患では男性53%、女性38%、脳卒中では男性64%、女性36%と、当初の約5%という予測よりもはるかに高い結果であったとするものです。

 2ページ目の、「喫煙に安全なレベルは存在しない」と題する、熊本市民病院神経内科の橋本洋一郎先生の先の論文の解説記事にもありますように、少しでもタバコの害を減らすために軽いタバコに変えたり、本数を減らそうとしても、決して安全ではないことを肝に銘じた方がよい。現在、米国FDAでは認可されていないのに、タバコに比べタールを少なくし日本で大流行しているとされる加熱式タバコ(iQOSなど)に乗り換えても、ニコチンを含むタバコである限り、先の研究結果をみても健康被害はそれほど減らないと思われます。

 良識ある皆さんは「より安全である」との宣伝に踊らされることなく、加熱式タバコに手を出さないようお願いします。加熱式タバコの健康被害の実態については、まだ十分に明らかになっていませんが、近い将来日本での「実験」結果が公表されることとなるでしょう。決してあなた自身が実験対象とならないことを祈っています。
(禁煙推進チーム: 立山 義朗)

by hiro-nishi-mc | 2018-03-02 17:25 | タバコラム