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カテゴリ:病理クイズ解答( 8 )
第8回画像による病理診断クイズ解答
 第8回画像による病理診断クイズ解答

d0128520_1723114.jpg画像1:
肉眼像 野イチゴのような外観を示す、表面顆粒状、有茎性、桑実様腫瘤です。










d0128520_17233776.jpg画像2:
固定後肉眼像 固定後は赤みが薄くなりましたが、外観は画像1と同様です。










d0128520_17235812.jpg画像3:
固定後割面肉眼像 表面乳頭状、灰白色、充実性の腫瘤です。灰白色部分にはやや黄白色調の点状あるいは線状構造が見られます。

d0128520_17242019.jpg画像4:
組織像 HE染色強拡大 対物×20 下方に延びる表皮突起間に拡張した毛細血管やリンパ球、形質細胞主体の炎症細胞浸潤に加え、多数の泡沫細胞(foamy cell)の集簇を認めます。

d0128520_17244752.jpg画像5:
組織像 HE染色強拡大 対物×40 泡沫細胞の集簇がより明瞭です。















 以上の所見より、組織診断は

 『疣状黄色腫(verruciform xanthoma)』 です。

 前回も黄色腫関連画像でしたが、黄色腫はわりといろんな臓器で出現してきます。

 さて、疣状黄色腫は比較的まれで、外陰部や口腔などに発生する良性病変です。腫瘍ではありません。肉眼所見と組織所見が特徴的で一度見ると忘れません。

                      (文責:立山義朗)
by hiro-nishi-mc | 2011-07-11 17:34 | 病理クイズ解答
第7回画像による病理診断クイズ解答
第7回画像による病理診断クイズ解答

病変(1):胃の印環細胞癌(signet-ring cell carcinoma)

病変(2):胃粘膜の黄色腫(xanthoma)

d0128520_8493354.jpg写真1:
切除胃肉眼写真、病変(1)は早期胃癌IIC病変の一部より、病変(2)は黄色調の平坦な小結節である黄色腫より切片作成。


d0128520_8501375.jpg写真2:
病変1 粘膜内で集簇性に増殖する印環細胞癌。低分化腺癌の一型。(HE染色対物×40)





d0128520_8504779.jpg写真3:
病変2 粘膜内で泡沫状胞体を有するマクロファージの集簇巣。個々の細胞を黄色腫細胞と言う。(HE染色対物×40)



病変(1)、(2)は肉眼像を見れば、一目瞭然であるが、組織像は若干類似しているので注意が必要です。

さらに、印環細胞癌は生検診断時には見落としにも注意が必要となります。例えば、写真4は潰瘍近傍の肉芽組織様ですが、上皮性粘液などが赤紫色に陽性となるPAS染色を行うと印環細胞癌の胞体が鮮明に陽性となります。

d0128520_8513342.jpg写真4:
別症例の胃生検組織像。潰瘍近傍の肉芽組織様に見える。(HE染色対物×40)






d0128520_8515839.jpg写真5:
写真4と同じ切片。(PAS染色対物×40)









なお、印環細胞癌は上皮性なのでサイトケラチン(AE1/AE3)陽性、CD68陰性ですが、黄色腫はAE1/AE3陰性、マクロファージのマーカーCD68陽性です。

d0128520_853829.jpg写真6:
印環細胞癌(AE1/AE3の免疫染色対物×40)








d0128520_8534279.jpg写真7:
印環細胞癌(CD68の免疫染色対物×40)









d0128520_8542648.jpg写真8:
黄色腫(AE1/AE3の免疫染色対物×40)









d0128520_8545077.jpg写真9:
黄色腫(CD68の免疫染色対物×40)









又、黄色腫細胞は様々な疾患で出現します。例えば動脈粥状硬化巣、高脂血症に伴なうことのある眼瞼黄色腫、化学療法や放射線療法後の腫瘍組織などです。写真10は眼瞼黄色腫の組織像です。

d0128520_8552342.jpg写真10:
眼瞼黄色腫(xanthelasma)(HE染色対物×20)


















立山義朗
by hiro-nishi-mc | 2011-04-19 09:10 | 病理クイズ解答
第6回 画像による病理診断クイズ解答

第6回 画像による病理診断クイズ解答


アスベスト小体(石綿小体、asbestos body(AB)、

厳密には含鉄小体 ferruginous body)


d0128520_2241438.jpg画像1 
喀痰細胞診標本中に偶然観察されたAB
(ギムザ変法、対物×100)

d0128520_22415052.jpg





画像2 
画像1とは別症例の組織切片上で観察されたAB(HE染色、対物×40)

d0128520_22421561.jpg







画像3 
画像2と同じ症例の組織切片上で観察されたAB。HE染色で褐色の鉄成分はベルリン青染色にて青く染色されます。(ベルリン青染色、対物×40)

d0128520_22424880.jpg


画像4 
上記とは別症例の肺を溶解後にろ過して観察されたAB(対物×40)









ABはアスベスト繊維に鉄を含むタンパクが表面を被覆して形成されます。ABには画像1のようなダンベル状あるいは画像2、3、4のような串団子状を示します。

ABは次亜塩素酸ナトリウムなどで肺組織を溶解、抽出し、フィルター上にろ過して顕微鏡下で観察すると、組織切片上で観察されなくてもほとんど全例で画像4のようなABが観察できます。ABは胸膜プラーク pleural plaque(胸膜肥厚斑)とともに、アスベスト曝露の指標(証拠)とされており、1g乾燥肺当たりのAB数はアスベスト曝露程度の良い目安(下記)とされています。

1g乾燥肺当たりABs
<1,000 ABs:環境曝露
1,000~5,000 ABs:職業的曝露の疑いあり
>5,000 ABs:職業的曝露


アスベストによる健康障害については国の救済制度がありますので、環境保全機構ホームページなどを参照されるといいでしょう。

http://www.erca.go.jp/asbestos/index.html

立山義朗
by hiro-nishi-mc | 2010-12-20 22:58 | 病理クイズ解答
第5回画像による病理診断クイズ解答

第5回画像による病理診断クイズ解答

画像所見
d0128520_19104631.jpg画像1:HE染色中拡大(対物×10)
骨髄内には既存の造血細胞はほとんどみられず、小型均一な細胞集団が不規則に集簇して増殖する像を認めます。


d0128520_19111166.jpg画像2:HE染色強拡大(対物×40)
これら細胞はクロマチン増量を示す類円形核と不明瞭な淡明あるいは淡好酸性胞体を有し、一部腺腔様配列を示します。


d0128520_1911362.jpg画像3:鍍銀染色(対物×20)
細胞集団は上皮パターンを示して大小胞巣状をなし、周囲には豊富な膠原線維の増生を伴っています。



以上より、癌腫(腺癌)の骨髄転移を疑って免疫染色を追加しました。

d0128520_1912057.jpg画像4:AE1/AE3の免疫染色(対物×20)
上皮マーカーサイトケラチン(AE1/AE3)陽性。







d0128520_19121657.jpg画像5:PSAの免疫染色(対物×40)
一部明らかにPSA陽性。以上より癌の骨髄転移(原発臓器:前立腺)と診断されます。




経過概略:入院時の貧血については、RBC 228万, Hb 7.3, Ht 22.6, MCV 99.1, MCH 32.0, MCHC 32.3, 網赤血球14.6‰と正球性正色素性貧血でした。腫瘍マーカーはCEA 3.6, CA19-9 11.3, PSA 1,000以上でした。泌尿器科にて前立腺癌stage D2と診断され、内分泌療法が行われましたが、診断から約8カ月の経過で亡くなられました。(詳しくは院内CPCで検討する予定)


病理組織診断:前立腺癌の骨髄転移(metastatic prostatic carcinoma involving bone marrow)
by hiro-nishi-mc | 2010-11-04 19:17 | 病理クイズ解答
第4回画像による病理診断クイズ解答

第4回画像による病理診断クイズ 解答

画像の所見:d0128520_151148.jpg画像1 
HE弱拡大(対物×4):紡錘形細胞が束状あるいは渦巻状に配列して密な部分(Antoni A type)と疎な部分(Antoni B type)の両者がみられる。 

d0128520_1514730.jpg画像2
HE強拡大(対物×20):細胞が密な部分では軽い屈曲を示す紡錘形核が柵状に配列して暗調な部分と明るい部分とが交互に並ぶ像(Verocay body)を形成する。

d0128520_1523542.jpg画像3 
HE強拡大(対物×20):細胞が疎な部分では小型類円形細胞が周囲にリンパ球浸潤、新旧の出血、血管壁の硝子様肥厚、血管内腔に血栓形成などを伴って出現する。

d0128520_154273.jpg画像4 
S100蛋白の免疫染色中拡大(対物×10):やや過染気味だが、神経鞘細胞などに多く含まれるS100蛋白を用いた免疫染色にて増生細胞は強陽性を示す。

d0128520_155664.jpg画像5 
HE強拡大(対物×40):しばしば大型で核クロマチンの濃染した異型的な細胞が出現する。

以上より病理組織診断は神経鞘腫(schwannoma)です。注意が必要なのは、神経鞘腫ではしばしば大型で核クロマチンが濃染した、悪性を疑いたくなるような細胞が出現することです。これらの異型的な細胞の出現があっても、核分裂像は全く見られないので決して悪性腫瘍とまちがわないように。

 病理組織診断:神経鞘腫(schwannoma)
by hiro-nishi-mc | 2010-09-06 15:12 | 病理クイズ解答
第3回 画像による病理診断クイズ 解答

第3回 画像による病理診断クイズ 解説です

画像1d0128520_1415547.jpg
(右示指DIP関節部横断面肉眼像): 白色、チョーク状あるいはモルタル状の塊状物が広い範囲に沈着しています。結核結節、石灰沈着、痛風結節などが鑑別にあがります。


画像2d0128520_14153194.jpg
淡黄色調の 束状結晶構造物を一部に認めます。








画像3d0128520_14155324.jpg
多くは、はけで掃いたような好酸性細線維状物よりなり、その周囲には多数の異物型巨細胞が出現しています。写真にはありませんが、表皮面には好中球浸潤を示す潰瘍を形成し、その周囲にはリンパ球など慢性炎症細胞浸潤を伴い二次的感染が加わっています。

d0128520_14161820.jpg以上より、高尿酸血症(下記)があり、結晶構造物が偏光(写真 弱拡大)を示すことから、痛風結節(gouty tophus)と考えました。




 組織診断:痛風結節 (gouty tophus) 

参考(術前検査データ):
 赤血球数298万/μlで正球性正色素性貧血、
 総タンパク 8.9g/dl,  A/G比 0.42、
 BUN 54.4mg/dl、  クレアチニン2.64mg/dl、
 尿酸12.9mg/dl。

                          立山義朗
by hiro-nishi-mc | 2010-03-04 14:23 | 病理クイズ解答
第2回 画像による病理診断クイズ 解答

 第2回病理診断クイズの回答です。

 このクイズコーナーは病理形態診断の専門領域なので、見ても何が何やらさっぱりわからん!と思うかも知れませんので、『もっとこんな風にしてはどう?』というアドバイスやご意見・ご提案などありましたら、ぜひ当方(立山:tachiyama@hiroshimanishi-nh.hosp.go.jp)までお知らせください。どうすればもっとおもしろくなるだろうかといろいろ試行錯誤している段階ですので。

 ***************************

 第2回の解説です。

 問題に周堤を有する2cm第の潰瘍とありますが、胃の潰瘍です。臓器名がなく失礼しました。

 さて、写真を順に説明します。
d0128520_1714556.jpg
 画像1:胃生検でつまりとられた3個程度に分かれた小さな組織片です。
 青く見える部分(細胞の核が密集)が広汎に見られ、何やら異常な細胞増殖集団がありそうです。
d0128520_1725265.jpg
 画像2:少し拡大を上げると、既存の胃粘膜組織はほとんど見られず、不規則に細胞集団が集まっているのがわかります。
d0128520_174393.jpg
 画像3:右上のピンク色の部分は浸出物に好中球など炎症細胞の核破砕物が混在した壊死組織(=文字通り部分的に壊れて死んだ細胞集団)です。
 大部分は細胞の集まった領域(濃い青い部分)で、これらは通常のリンパ球よりは大きく、核クロマチンの濃染した異型的(=正常とはちがった形状)なリンパ球類似の異常細胞です。
 前回の低分化腺癌かも知れないし、悪性リンパ腫も疑われるのでまずリンパ球マーカーの有無を免疫染色という方法で鑑別します。
d0128520_17201661.jpg
写真のようにBリンパ球マーカー(CD20)陽性であり、B細胞性悪性リンパ腫(本例は細胞が大型なのでびまん性大細胞型Bリンパ腫)と診断されます。
 この写真で抜けて見えているところは既存の胃粘膜上皮です。
by hiro-nishi-mc | 2010-01-18 17:04 | 病理クイズ解答
第1回 画像による病理診断クイズ 解答

 明けましておめでとうございます。

 予定よりちょっと遅くなりましたが、第1回 画像による病理診断クイズの解答です。

 病理医が毎日顕微鏡で何をのぞいているのか、今回から少しですけどお見せします。

 病理医自身の診断がまちがっていたらどうするかって?

 一応、診断が正しいと思っている(つもりの)症例を選んで出しますのでご心配なく。

  ***************************

第1回の解説: 

 弱拡大:まず全体をながめて、診断のために有用な箇所にねらいを定めます。大半は壊死性組織(潰瘍底)で、この部分だけだと診断に至らないことがあります。

 中拡大:正常の構造がみられず、正常にはみられない、大型で濃く染まる核をもつ細胞集団がみられます。腺管構造はあまりはっきりしません。

 強拡大:強拡大では細胞の特徴を観察します。細胞質が比較的広い異常な細胞集団であることがわかります。

 以上より、低分化腺癌(Group V) と診断しました。

 内視鏡的に悪性リンパ腫も疑われていましたが、癌では陽性ですが、悪性リンパ腫では陰性となるAE1/AE3(サイトケラチン)の免疫染色では陽性でした(下図)。
d0128520_17483956.jpg

by hiro-nishi-mc | 2010-01-05 17:51 | 病理クイズ解答
   
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