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カテゴリ:タバコラム( 93 )
13.タバコと病気(7)喫煙と膀胱がん

13.タバコと病気(7)喫煙と膀胱がん
                  
 喫煙と循環器疾患や呼吸器疾患、特に肺がんとの関連はよく知られていますが、意外と知られていない病気に膀胱がんがあります。膀胱は下腹部にあり腎臓で作られた尿をためて、排尿のときは尿を押し出すポンプの役割をする臓器です。

d0128520_15545540.jpg 膀胱がんはその膀胱の粘膜から発生する悪性腫瘍ですが、症状としては痛みも何もなく血尿が出るというものです。

 早期に診断できれば尿道からの内視鏡手術で完全に切除することができますが、再発しやすいという性質があり、一度膀胱がんに罹った人は継続した定期検査が必要です。進行した状態で見つかったものは、膀胱を全部摘出する手術や、抗がん剤による治療、放射線治療を行いますが、予後は必ずしも良好とは言えません。

 このような膀胱がんは、喫煙や塗装などに使われる有機溶剤(シンナー)などの外因物質により発生率が増加するということが明らかになっています。着物の染め物職人さんや塗装工の人たちなど、日常的に有機溶剤に暴露されやすい職業の人は泌尿器科に検診で通院される方が多いのが実情です。

 同じように喫煙も膀胱がんの発生と深い関係がありますから、喫煙者の禁煙を促進することは膀胱がんの発生を少なくするために有用であると考えます。

 タバコを吸われる皆さん、膀胱がんという恐ろしい病気も知っておいてください。

 ぜひ禁煙して、健康で病院に通わなくてよい生活を送るようにしましょう。

          禁煙促進チーム 泌尿器科 浅野耕助
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by hiro-nishi-mc | 2010-08-05 15:57 | タバコラム
12.タバコと病気(6)百害あって一利?

12.タバコと病気(6)百害あって一利?

 『毒のかんづめ』の異名をもつタバコに百害があるのはよく理解できます。

 ところがなぜかいくつかの病気についてはその発症リスクを下げることが知られています。
 それは、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病、原発性硬化性胆管炎、テュレット症候群(チック症状)です。
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 潰瘍性大腸炎は発熱、粘血便を主徴とする、原因不明の大腸の非特異性炎症性疾患で20~40才代の男性に好発します。

 潰瘍性大腸炎を高頻度に併発する原発性硬化性胆管炎は肝内外の胆管に不連続性に線維化が起こって硬くなり、炎症を繰り返したり、肝硬変に進展したりする疾患で、自己免疫機序が原因として考えられています。

 パーキンソン病は安静時振戦、筋固縮、寡動などを主症状とし、中脳黒質のドーパミンを産生する神経細胞が変性、脱落していく疾患で中年男女に発症します。

 テュレット症候群は首をふるなどの運動チック症状や咳払いなどの音声チック症状が主症状で小児期に発症します。

 これらはどれも罹りたくない疾患であることはまちがいありませんが、だからと言ってタバコを吸いましょうなどとは決して言えませんね。
 なぜならタバコには多くのがんの発生や心臓や脳の虚血障害、そして肺の障害といった、命に直接かかわる疾患に罹るという、あまりにも大きいリスクがあるからです。

 又、喫煙者にしてみればタバコはリラックスできるし、ストレス解消になると信じている人も少なくないでしょうが、これは血中ニコチン濃度が下がったために起こる禁断症状が一時的に解消されただけの、極めて短時間のまやかしの満足感にすぎない現象なのです。

 従って、タバコは『利』がゼロとは申しませんが、限りなくゼロに近いしろものであることは賢明なあなたならわかっていただけますね。

                          (TCT 立山義朗)
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by hiro-nishi-mc | 2010-01-18 19:15 | タバコラム
11.タバコと病気(5)妊婦と小児への影響

11.タバコと病気(5)妊婦と小児への影響

 今回は妊婦と小児に対するタバコの影響を考えてみたいと思います。能動喫煙がよくないことは自明ですので、ここでは家庭内などでの間接喫煙の害を中心に触れたいと思います。

d0128520_15353343.jpg タバコの煙を妊婦が吸わされる(吸う)と、ニコチンの血管収縮作用で胎盤循環の血流低下が起こり、低酸素や低栄養状態となり、お腹の赤ちゃんの発育不良を来すリスクが高まることは容易に想像できるでしょう。また、たくさんの有害化学物質により、繊細で敏感な細胞が傷つけられ、将来とんでもない病気になるかも知れません。

 また、お家のなかでお父さんやお母さんがタバコを吸っていると、一緒に生活している小さな子どもたちにもさまざまな病気が襲いかかってきます。まず、生後数ヶ月の乳児に起こることのある乳幼児突然死症候群(SIDS)は、両親の喫煙が重要なリスクです。そして煙を吸わされる子どもたちには気道への障害とくに気管支炎、肺炎、気管支喘息が起こりやすくなったり、のどの奥と中耳が耳管という管でつながっているために、中耳炎にも罹りやすいと言われています。さらに大人になってから、がんになるリスクの増加の指摘もあります。

 前途ある子どもたちの健全な成長を願うならば、まずは私たち大人が、 「タバコを吸わない!人前で吸わせない!」という姿勢を示すことが大切です。

                        (TCT 立山義朗)
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by hiro-nishi-mc | 2009-11-26 15:39 | タバコラム
10.サードハンド スモーク(third-hand smoke)

10.サードハンド スモーク(third-hand smoke)

 サードハンド スモークという言葉をご存じでしょうか?

2009年1月にマサチューセッツ総合病院小児科医師が新しいタバコのリスクとして初めて学術誌の中で用いた用語のようです。能動喫煙に対する受動喫煙(=間接喫煙)がセカンドハンド スモーク(second-hand smoke)と言われ、今日比較的よく浸透してきた言葉と思われます。

d0128520_14463866.jpg これに対し、さらにもう一段階を踏んだあとにもタバコの煙に含まれる残留化学物質による有害性があることが指摘されました。要するに、今、目の前で喫煙していなくても、少し前に喫煙していた喫煙者の吐息、髪の毛、衣服、手指などの発するタバコ臭、放置された吸い殻の発するタバコ臭、喫煙者が宿泊後のホテルの部屋の中、壁、家具、カーペットなどにしみついたタバコ臭などがサードハンド スモークに相当し、広い意味での間接喫煙あるいは環境汚染と言えるでしょう。

 サードハンド スモークは能動喫煙や受動喫煙に比べれば、リスクはそれほど大きくないかも知れませんが、特に家の中を這い回る、幼い子どもがいる家庭では、タバコの煙に含まれる有害化学物質が残留している部屋の家具、壁、カーペットなどから子どもへの影響が全くないとは言えないはずです。

 私たちだって新幹線や飛行機で移動中、猛烈なタバコ臭を放つ乗客が自分の隣に座ってきた時などには、防御マスクが必要かもしれません。

                               (TCT 立山義朗)
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by hiro-nishi-mc | 2009-07-17 14:51 | タバコラム
9.タバコと病気(4)動脈硬化症

9.タバコと病気(4)動脈硬化症

 動脈硬化症とは文字通り本来弾力のある、丈夫な動脈の壁が厚く、硬く、脆くなり、血液の流れが悪くなり中がつまりやすくなったり、壁が破れたりして、様々な臓器障害が起こる病気です。

 特に命に直接かかわる心臓や脳の動脈に起こりやすく、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などがよく知られています。病理学的には動脈の内側が傷つき、血管の壁の中にコレステロールなどの脂肪成分が貯まり、粥状(じゅくじょう)変性**がみられます。

d0128520_14143626.jpg 動脈硬化症は大なり小なり、加齢と共に誰にでも起こってきますが、タバコ、高血圧、糖尿病、脂質異常症(以前は高脂血症と呼んでいました)などの危険因子が加わると加速して進行していきます。

 特に、タバコの煙に含まれるニコチンは血管を締めて細くしますし、活性酸素は、血管の内側の細胞(内皮細胞と言います)を障害して粥状変性を起こしやすくすることがわかっています。動脈硬化は、いわば古くなってさびついたり、汚れがついた血管と言えるでしょう。

 動脈硬化症の恐ろしいところは、知らないうちに進行していくことであり、何も症状がないから大丈夫と思い、タバコを吸い続けていると、ある時突然、死に至る病いが起こることです。家族を悲しませないためにもタバコをやめましょう。

脳卒中とは脳出血や脳梗塞のような脳の血管障害によって、突然意識がなくなったり、手足が動かなくなったりする病気のことです。

**変性(へんせい)とは生きている細胞や組織にさまざまな物質が量的、質的に異常に出現してくる変化を意味します。
                          (TCT 立山義朗)
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by hiro-nishi-mc | 2009-05-21 14:18 | タバコラム
8.世界禁煙デー(World No Tobacco Day)

8.世界禁煙デー(World No Tobacco Day)

 1988年4月7日に第1回世界禁煙デーが設立されました。第2回世界禁煙デー以降は5月31日を世界禁煙デーとすることが決定され、現在に至っています。毎年WHOは禁煙スローガンを掲げており、2009年5月31日の第22回世界禁煙デーは『Tobacco Health Warnings(警告!タバコの健康被害)』です。WHOは、地球上に蔓延しているタバコによる健康被害をなくすために、この世からタバコを排除していく!という立場を明確にしています。特に私たち医療者はこれの流れに同調していくことがつよく求められます。

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 これまでのWHOの禁煙スローガンは以下の通りです。

 第21回 2008年:『Tobacco Free Youth(若者からタバコを遠ざけよう)』
 第20回 2007年:『Smoke Free Environments(タバコのない環境、室内は禁煙)』
 第19回 2006年:『Tobacco: Deadly in any Form or Disguise(タバコはすべて有害、みかけにだまされるな)』
 第18回 2005年:『Health Professionals against Tobacco, Action and Answers(タバコ対策に取り組む保健のプロなら行動を起こして成果を出そう)』
 第17回 2004年:『Tobacco and Poverty(タバコと貧困:その悪循環から逃れよう)』
 第16回 2003年:『Tobacco Free Film, Tobacco Free Fashion, Action!(タバコと無縁の映画やファッションへ、さあ行動を起こそう!)』
 第15回 2002年:『Tobacco Free Sports, Play it Clean!(タバコとスポーツは無縁です、きれいな環境でプレーしよう!)』
 第14回 2001年:『Second-hand Smoke Kills. Let’s Clear the Air.(他人の煙が命をけずる:タバコの煙のないきれいな環境にしよう)』
 第13回 2000年:『Tobacco Kills. Don’t be Duped.(タバコによってみんなの命がけずられる:タバコにだまされるな)』
 第12回 1999年:『Leave the Pack Behind.(タバコにサヨナラ)』
 第11回 1998年:『Growing Up without Tobacco(無煙世代を育てよう)』
 第10回 1997年:『United for a Tobacco Free World(タバコのない世界をめざして手をつなごう)』
 第 9回 1996年:『Sports and the Arts without Tobacco(スポーツと芸術はタバコのない環境で)』
 第 8回 1995年:『The Economics of Tobacco Control!(想像以上に大きいタバコによる経済損失!)』
 第 7回 1994年:『The Media and Tobacco: Getting the Health Message Across(メディアとタバコ:健康へのメッセージを広めよう)』
 第 6回 1993年:『Health Services: Our Window to a Tobacco Free World(医療機関はタバコのない世界に開く窓になるべきだ)』
 第 5回 1992年:『Tobacco Free Workplaces: Safer and Healthier(タバコのない職場はもっと安全な環境になり、そして、働く人達はもっと健康になる)』
 第 4回 1991年:『Public Places and Transport: Better be Tobacco Free(公共の場所や交通機関は禁煙であるべきだ)』
 第 3回 1990年:『Growing Up without Tobacco(子どもに無煙環境を)』
 第 2回 1989年:『The Female Smoker: at Added Risk(女性喫煙者に高まる疾病リスク)』
 第 1回 1988年:『Tobacco or Health: Choose Health(タバコと健康のどちらを選びますか?当然健康ですね)』

(TCT 立山義朗)
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by hiro-nishi-mc | 2009-05-18 09:02 | タバコラム
7.タバコと病気(3)COPD

7.タバコと病気(3)COPD

 COPDとは慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)の英語の頭文字をとったものです。長期間有害粒子やガスを吸入し続け、肺や気道に炎症*が持続して気道が狭くなって起こる病気のことを言います。肺胞が破壊されて息切れが起こる肺気腫や、咳や痰が多くなる慢性気管支炎が含まれます。d0128520_856509.jpg

 COPDの90%以上はタバコが原因で、喫煙者の約20%がCOPDに罹患すると言われています。従って、タバコを吸わなければCOPDにはまずなりません。まさしく肺の生活習慣病です。

 深く息を吸い込み、力一杯吐いたときに吐きにくくなることをスパイロメーターで診断します。1秒間に息を吐いた量を1秒量と言いますが、COPDになると1秒量が低下します。1秒量は誰でも加齢とともに徐々に低下していくので、1秒量と年齢との相関式から肺年齢という概念が知られています。

 COPDになると肺は実際よりも早く年をとるというわけです。ゆっくり年をとって残りの人生楽しみませんか。わざわざ死に急ぐことはないですよ。

                     (TCT 立山義朗)

*炎症(えんしょう)とは有害な異物に対する生体の反応ですが、正常構造も同時に破壊されるので障害が起こります。
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by hiro-nishi-mc | 2009-02-12 08:58 | タバコラム
6.タバコと病気(2)メタボリック症候群(MS)

6.タバコと病気(2)メタボリック症候群(MS)

  メタボリック症候群(MS) とは主に不健康な生活習慣(過食、運動不足、喫煙など)から、内臓脂肪型肥満になり、糖代謝異常、高血圧、脂質代謝異常などが起こり、これらのリスクが重なり合うことによって動脈硬化が進行し、その結果、脳・心血管病変(脳卒中や心筋梗塞)のリスクが高まる病態のことを言います。

d0128520_17382130.jpg 肥大した脂肪細胞から分泌される様々な生理活性物質(アディポネクチン↓、TNFα↑、PAI1↑など)がインスリン抵抗性、血栓形成傾向、血圧上昇などを起こすことが原因とされています。

 一方、喫煙者は非喫煙者と比較して有意にウエスト・ヒップ比↑、アディポネクチン↓、インスリン抵抗性↑、TG↑、HDLc↓であり、2倍MSになりやすく、MSの50%はタバコが原因と言われています。

 がんに次ぐ死因である脳・心血管病変を減らすために、MSの予防と是正が重要ですが、その前にまず禁煙です。

 そして、受動喫煙対策も禁煙治療と同様に積極的に推進していかなければなりません。

                        (TCT 立山義朗)
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by hiro-nishi-mc | 2009-01-20 17:42 | タバコラム
タバコラム5.タバコと病気(1)がん-その2-

 5.タバコと病気(1)がん-その2-

 12月10日のテレビニュースの報道で、世界の死亡原因の1位はがんであるとWHOが発表したとありましたが、発展途上国における喫煙率増加が影響しているようです。

 さて、タバコによって起こるがんはどの部位に起こりやすいのでしょうか?

 吸い込んだ煙が直接接触する、口腔、舌、鼻腔、咽頭、喉頭、肺といった呼吸器系のがんの発生については容易に想像できます。実際に喫煙者ではこれらの部位のがんの発生リスクは高く、なかでも喉頭がんの相対危険度は非喫煙者の32.5倍も高いことはよく知られています。

d0128520_1443885.jpg ところが、呼吸器系以外にも、食道、胃、大腸、肝、膵といった消化器系や腎、尿管、膀胱といった泌尿器系にもタバコが原因と考えられるがんのリスクが高まることがわかっています。発がん物質が唾液や痰に溶け込んで、それを飲み込めば消化器系に、あるいは肺から血液中に溶け込めば、血液を濾過する腎や、尿が通過する尿路系にも到達しうることがわかると思います。つまり喫煙によって全身あらゆる臓器にがんが起こっても全く不思議はないのです。

 意外なところでは、HPVの持続感染に喫煙が加わることによって子宮頸癌のリスクが高まることが明らかになっており、若い女性の子宮頸癌の増加はこれらの年代の喫煙率増加と関係があるかも知れません。             
                        (TCT 立山義朗)
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by hiro-nishi-mc | 2008-12-11 14:09 | タバコラム
タバコラム4.タバコと病気(1)がん-その1-

 4.タバコと病気(1)がん-その1-

 タバコは有害化学物質を煙にして放出する製品であり、すぐにでも規制すべき対象であるとの医療者(病理医)としての立場から、タバコと関係すると考えられる、いろいろな病気について今回から簡単に書いていきます。

 まずは 『がん』 から。

d0128520_1347130.jpg がんは『悪性腫瘍』と同じ意味のことばです。つまり『悪性』とはこのまま放置すれば死ぬという意味であり、『腫瘍』とは勝手に無制限増殖し、コントロールできなくなった異常な細胞集団を意味します。もともとは正常だった細胞に遺伝子異常がいくつか積み重なった結果腫瘍が作られますが、そのなかでも悪性の腫瘍をがんと言うわけです。

 よく知られているようにタバコの煙には4,000種類以上の化学物質、約200種類の有害物質、60~70種類の発がん物質が粒子やガスとして存在し、ニトロソアミン類、ベンツピレン、ダイオキシン類、アルデヒド類、活性酸素などが遺伝子異常を起こし発がんと関係しています。

 がんにならないためには能動喫煙をしてはいけないことは言うまでもありませんが、自分が吸い込む煙よりも多くの有害物質を含む副流煙による受動喫煙被害を発生させないことの方がもっと重要です。

             (TCT 立山義朗)
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by hiro-nishi-mc | 2008-12-10 13:39 | タバコラム
   
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