人気ブログランキング |
> 以前の記事
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 07月
2011年 04月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 03月
2010年 01月
2009年 11月
2009年 07月
2009年 05月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 05月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
タバコラム119. 禁煙の日にひとこと(101)~加熱式タバコは紙巻タバコよりも安全なの?~

 タバコラム119. 禁煙の日にひとこと(101)
  ~加熱式タバコは紙巻タバコよりも安全なの?~


 最近、アイコスやグロー等の加熱式タバコを吸っている人を目にすることが多くなったと感じませんか?

タバコラム119. 禁煙の日にひとこと(101)~加熱式タバコは紙巻タバコよりも安全なの?~_d0128520_11095986.jpg

 実際、平成30年度412月期における紙巻タバコと加熱式タバコの販売に占める加熱式タバコのシェアは、なんと約21%と喫煙者の5人に1人を占めるまで増えています1)
 その割合は年々増加しており、紙巻タバコよりも加熱式タバコの方が人気になる日も近いかもしれません。

 紙巻タバコと違って加熱式タバコは煙も出ず、臭いも少なく、紙巻タバコよりも一見安全で健康に良さそうに見えますが、本当にそうなのでしょうか?


 従来の紙巻タバコに対して火を使わないスモークレスなタバコとして、電子タバコと加熱式タバコがあり、それらを吸う行為のことをベイピングと呼びます。

 電子タバコとはタバコ葉を用いずニコチンを含んだ液体を加熱し蒸気を吸うものであり、日本では医療品として扱われているため
薬事法で国内で販売や譲渡は禁止されています(個人使用目的の一定量以下の輸入は可能)2)

 一方、加熱式タバコはタバコ葉を加熱しニコチンを含んだエアロゾル(液体や固体の微粒子)を発生させ吸引するもので、新型タバコとして日本で広く普及しています。

 これら加熱式タバコ等の新型タバコは、「煙が出ない、あるいは煙が見えにくいので禁煙のエリアでも吸える」、「受動喫煙の危険がない」、「従来の紙巻タバコより健康リスクが少ない」と認識され、年々急速な広がりをみせていま
3)
 また、加熱式タバコを販売する各社も紙巻タバコよりも有害物質が少ないと宣伝しており、実際タバコ特異的ニトロソアミンの尿中代謝物は紙巻タバコ使用者の1.54.2%、揮発性有害物質の代謝物は2060%程度と少ないと報告されていま4)

しかし、健康という側面から見て、加熱式タバコは本当に安全だと言えるのでしょうか?


 加熱式タバコや電子タバコは、紙巻タバコをやめられない人、あるいはやめる意志のない人にとっては健康被害の低減につながるとして、従来の紙巻タバコ使用者は代替品として使用することを推奨する考え方があります。
 しかし、これらの新型タバコの使用と病気や死亡リスクとの関連性についての科学的証拠が得られるまでにはかなりの時間を要すため、現時点では明らかでなく推測にすぎませ
3)

 加熱式タバコの主流煙中に紙巻タバコとほぼ同レベルのニコチンや揮発性化合物(アクロレイン、ホルムアルデヒド)、約3倍のアセナフテン(多芳香環炭化水素物)等の有害物質が含まれていることが報告されていま
5)

 また、加熱によりエアロゾルを発生させる仕組みは、ニコチン以外の液体成分を分解して複雑な混合物を発生させ、発癌性物質に変化することが指摘されてい
ます6)

 さらに、加熱式タバコは周囲の人々への受動喫煙の危険も示唆されています。
 「煙が出ない、あるいは煙が見えにくい」とされていますが、特殊なレーザー光を非燃焼・加熱式タバコ使用者の呼気に照射すると、大量のエアロゾルを呼出していることが明白になり
ます3)

 世界保健機構がレビューした複数の研究では、
 1)電子タバコ使用者の呼出煙中のニッケルやクロムなどの重金属濃度は紙巻タバコの呼出煙よりも高い、
 2)PM2.5、ニコチン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどの濃度は紙巻タバコの呼出煙中より低いが、通常の大気中濃度の1440倍(PM2.5)、10115倍(ニコチン)、28倍(アセトアルデヒド)
1.2倍(ホルムアルデヒド)、
 とされています。

 有意な健康リスクではないとの主張もありますが、見えにくいエアロゾル中には通常の大気中濃度を上回る有害物質があるわけですから、受動喫煙者の健康を脅かす可能性があると考えることが合理的であると言え
ます7)

 また、最近加熱式タバコや電子タバコ特有の病気も出現しています。
 重度の肺損傷や全身および消化器症状と関連する新たな疾患であり、電子タバコまたはベイピング関連肺損傷(lung injury associated with e-cigarettes or vapingEVALI)と呼ばれま8)

 重症度は多岐にわたり、多くが抗菌薬やステロイドで治療されていますが、臨床的に改善しても異常が残存する患者が多いと言われています。この病気が一因となり死亡した症例も報告されており、まだその病態について広く知られてはいませんが、加熱式タバコが普及するにつれてEVALIによる健康問題が顕著となってくるかもしれません9)

 加熱式タバコは従来の紙巻タバコに比べてタール(タバコ煙中の有害物質のうちの粒子成分)が削減されていますが、依存性物質であるニコチンやその他の有害物質を吸引する 製品です。したがって、使用者にとっても、受動喫煙させられる人にとっても、加熱式タバコの使用は推奨できません3)。紙巻タバコにしろ加熱式タバコにしろ、積極的に禁煙していくことが健康にとって大切だと考えられます。

    禁煙促進チーム  初期臨床研修医 寺道紘毅


文献

1)財務省「たばこ事業等分科会(平成31425日開催)議事録」

2)https://www.nicinjuice.com/cts/about_law/
3)一般社団法人日本呼吸器学会「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解」
4)欅田尚樹:電子タバコ蒸気に含まれる有害化学成分.厚生労働省委員会報告書http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000066481.pdf
5)Auer R et al:Heat-Not-BurnTobacco Cigarettes: Smoke by Any Other Name.JAMA Intern Med.2017;177:1050-1052.
6)Shahab L et al: Nicotine, Carcinogen,and Toxin Exposure in Long-Term E-Cigarette and Nicotine Replacement TherapyUsers: A Cross-sectional Study. Ann Intern Med 2017; 166:390-400.
7)世界保健機構による報告http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/ DTWHO.pdf
8)https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1915111
9)DenitzaP Blagev et alClinical presentation, treatment, andshort-term outcomes of lung injury associated with e-cigarettes or vaping: aprospective observational cohort study. Lancet (London, England).2019;394(10214);2073-2083.


# by hiro-nishi-mc | 2020-02-19 11:13 | タバコラム
タバコラム118. 禁煙の日にひとこと(100)〜2020年の世界禁煙デースローガンは?〜


 タバコラム118. 禁煙の日にひとこと(100)
  〜2020年の世界禁煙デースローガンは?〜



 2020年の世界禁煙デースローガンがWHOホームページに発表されていると、SNSから知りさっそく見てみました。

 それは、

タバコラム118. 禁煙の日にひとこと(100)〜2020年の世界禁煙デースローガンは?〜_d0128520_15483043.jpg


 “Protecting youth from industry manipulation and preventing themfrom tobacco and nicotine use”です。


私が理解した範囲では、

 「若者をタバコ産業の巧みな誘惑から守り、タバコとニコチン依存から遠ざけよう」


と訳しましたが、皆さんはどう訳されますか?


 世界禁煙デーの531日が近づくと、いつも厚労省の超意訳文が公表されていますが、今年も楽しみです。

 さて、ホームページの本文も少し読んでみますと、タバコ産業はいい香りを加えたり、タバコ製品の形状を良くしたり、清潔感をもたせたりすることで、あたかも有害性やリスクがそれほどつよくない印象を与えて、若者をタバコユーザーに取り込もうとしているとあります。

 新型タバコ(国内では加熱式タバコ、海外ではニコチン入り電子タバコ)は紙巻きタバコと比べれば、タール含量は少なく、煙が出ないので吸う本人も周囲にも害は少ないとして販売戦略が取られています。
 しかし、ニコチン量は両者同程度に含まれ(ニコチンは依存物質であるだけでなく体内でニトロソアミン類の発がん物質に変化します)、喫煙者から周囲に有害物質が吐き出されることで受動喫煙被害はなくなりません。

 さらに新型タバコや電子タバコには加熱する溶液に多くの有害化学物質が含まれていることが明らかにされており、アメリカにおいて電子タバコを使用していた若者が重篤な呼吸障害で死亡したとのニュースがあったことも記憶に新しいところです。

 新型タバコを含むタバコ製品に騙されることなく、私たち、特に若者の健康被害を起こさせないように広く啓発活動をしていく必要があります。

       禁煙促進チーム 立山 義朗


# by hiro-nishi-mc | 2020-01-22 15:54 | タバコラム
タバコラム117. 禁煙の日にひとこと(99)〜喫煙の害について自主学習して思ったこと〜


 タバコラム117. 禁煙の日にひとこと(99)
   〜喫煙の害について自主学習して思ったこと〜


 タバコについて何か一つ書いてみませんか?と禁煙促進チームから依頼され、研修医はチームのメンバーでもあり、喫煙の害について知識を再確認し、禁煙の取り組みの重要性を再認識したいと思い、今回書いてみました。
タバコラム117. 禁煙の日にひとこと(99)〜喫煙の害について自主学習して思ったこと〜_d0128520_16384431.jpg

 参考文献としてTHE LUNG perspectives Vol.27 No1 2019冬」(メディカルレビュー社) 特集:喫煙のサイエンスを選びました。
 喫煙の害について様々な観点からの最新の知識と情報について解説されており、喫煙の害の経済的側面や、病理的な実態、また新型タバコの問題などについて知ることができます。内容は、以下の12テーマで構成されています。

1. 喫煙が経済に与える影響
2. 我が国の禁煙活動の実情と課題
3. タバコ対策の重要性-現世代と次世代のために
4. 受動喫煙被害-問題点と将来の課題
5. 喫煙により取り込まれる有害物質と健康リスクアセスメント
6. 新型タバコの有害性と問題点
7. 喫煙による聴力障害-知られざる問題と新知見
8. 喫煙によるDNA変異シグネチャー
9. 喫煙による呼吸障害-COPD発症における喫煙の役割
10. 妊娠中の喫煙が子どもの健康に与える影響
11. 心血管病変と喫煙-注目される新知見
12. 基礎医学とのダイアローグ

 ①加熱式タバコの喫煙バイオマーカー
 ②ニコチン性アセチルコリン受容体(ニコチン受容体)と作用薬

 以上の通り喫煙に関する問題について私たちが知っておくべき情報が集められています。
 日本では来年のオリンピックに向けて新しい法律にもとづいた禁煙の取り組みが強化されており、禁煙の社会的必要性は高まっています。
 喫煙の害についての知識、禁煙の必要性を再認識するための適切な資料だと思います。
 当コラムでは以下の3つのテーマ 
  ①喫煙による害(能動、受動、サードハンド喫煙)
  ②妊娠中の喫煙の害
  ③新型タバコの有害性)

で上記12章の中から要点を紹介したいと思います。


1)喫煙による害
 2007年我国の能動喫煙による死亡は約13万人、受動喫煙による死亡は約1.5万人、合わせて十数万人の死亡が発生しています。喫煙の影響が除去されれば日本人男性の寿命は1.5%伸びると期待されています。喫煙は健康寿命短縮に関連する20疾患の14疾患に関係しています。脳血管疾患、躁鬱病、虚血性心疾患、認知症、難聴、肺癌、糖尿病などがあります。
 受動喫煙はタバコ先端から発生する副流煙(より多くの有害物質を含む)と喫煙者が吐出する呼出煙を非喫煙者が吸引することです。小児の40%、非喫煙者男性の33%、非喫煙者女性の35%が被害を受けています。2014年までの40疫学調査では全死亡は1.18倍、冠状動脈疾患死1.23倍、脳卒中死1.29倍、全癌リスク1.16倍とあり、有意に増加するとされています。
 他に広い意味の受動喫煙としてサードハンド喫煙(Third-hand smoke, THS)があります。これは、喫煙者が使った住宅、車、衣類などに残るタバコ臭に曝露されることを言い、動脈硬化、中枢神経障害などの原因になることが最近分かってきました。喫煙習慣のある家庭のカーテン、カーペットを使ったラット実験から、遺伝子損傷、LDLコレステロール、中性脂肪増加、非アルコール性脂肪性肝炎発症、血糖値増加、インスリン抵抗性憎悪、創傷治癒遅延、多動症発症などが確認されています。また内装、什器(じゅうき)に付着したタバコ成分に経口的、経皮的に曝露される乳幼児でタバコ特異的ニトロソアミンレベルが極めて高いという報告もあります。THS曝露は、乳幼児をはじめとする非喫煙者の健康を損なう可能性が高く、家屋・車内での喫煙は厳禁と考えるべきです。

2)
妊娠中の喫煙の害
 2000年以降、成人女性の喫煙率は低下を続け、2017年では29歳まで:6.3%、39歳まで:8.5%です。妊婦の喫煙率は同様の傾向をたどり2010年時点で5.0%となっています。現時点、妊婦全体の喫煙率:5%、妊娠後禁煙:13%、合わせると依然として高いが、25歳未満の妊婦では全体喫煙率:9%、妊娠後禁煙:23%であり、若年妊婦の喫煙率はさらに高く、対策のターゲットとすべきとしています。 
 また妊娠後の受動喫煙率を見ると、毎日:19.9%、稀:47.6%、合わせて67.5%2/3強)の妊婦が受動喫煙にさらされています。

 妊娠中の自身への健康被害として、睡眠障害、喘息、アトピー皮膚炎 との関連が報告されています。合併症としては、子癇前症(妊娠高血圧症候群, Pregnancy induced hypertension, PIH)、早産、切迫早産、絨毛膜羊膜炎(Chorioamnionitis, CAM)、前期破水(Prematurerupture of the membranes, PROM)などがあります。
 胎児への影響としては、低出生体重児、在胎不当過少児(Small-for-gestational-age, SGA)があります。2000年以降の研究から妊娠中喫煙によりSGAリスクが上昇、出生低体重が85170gの範囲で優位に減少することが示されました。
 また、妊娠前期での喫煙は、3歳時でのBMIを有意に増大(BMI25相当)し、小4時における同様の肥満に関連しています。また3歳時点でのう歯についても有意に関連しています。 以上のように特に妊娠前期での喫煙は本人だけでなく次世代の健康にも大きく影響しています。

3)
新型タバコの有害性

 新型タバコは、液体を加熱してエアロゾルを吸引する電子タバコと、非燃焼加熱タバコに分けられます。
 加熱式タバコは葉タバコを直接加熱し、ニコチンを含むエアロゾルを吸引するタイプ(IQOS, glo)と、低温での霧化する有機溶剤からエアロゾルを発生させタバコ粉末を通過させてタバコ成分を吸引するタイプ(PloomTECH)があります。
タバコラム117. 禁煙の日にひとこと(99)〜喫煙の害について自主学習して思ったこと〜_d0128520_16384896.jpg

 これらには多くは発がん物質が含まれており虚血性疾患リスクと一日当たり喫煙本数の関係(右図)からわかるように、発症リスクは12本という軽度の喫煙で急激に立ち上がり、その後は本数と線形的に増加します。
 この事実は有害成分の絶対量が少なくても疾患発症率は低減せず、有害性も低減しないことを意味するとしています。

 今回コラムを書きながら、改めて3つのことを思いました。
 1つ目は喫煙は医学的に健康へのリスクがあることを再認識したので、日ごろからタバコ煙を避けながら生活を送る事が重要であること。
 2つ目は現在流行中の加熱式タバコは禁煙の代替手段にならないどころか、むしろ喫煙を助長させ、健康被害を増す可能性もあること。
 そして最後に今回の投稿をきっかけとして私も医療者の一人として、喫煙の害と禁煙の重要性について目の前の患者さんのみならず、広く一般社会に向けて啓発していこうと強く思ったことです。


   禁煙促進チーム  初期臨床研修医 藤田翔平


# by hiro-nishi-mc | 2019-12-13 17:16 | タバコラム
タバコラム116. 禁煙の日にひとこと(98)〜受動喫煙防止をピシッと法律で徹底することが心疾患予防につながる!兵庫県からの報告から〜


 タバコラム116. 禁煙の日にひとこと(98)
  〜受動喫煙防止をピシッと法律で徹底することが
    心疾患予防につながる!兵庫県からの報告から〜


 日々の診療で医師は喫煙をしている患者さんに対して、禁煙の指導をして疾病を予防するという事を行っています。 
 タバコをやめたいと思っているのにやめられないという患者さんはニコチン依存症の疑いがあるので、禁煙外来を受診してカウンセリングを受ける事や薬物治療を受ける事が出来ます。
 喫煙は肺がんやCOPDなどの呼吸器疾患、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患など様々な病気のリスクですから、それを禁煙によって取り除いてやるという事は疾病を予防するという医療の重要な役目です。

  • 受動喫煙防止条例について

しかしながら、受動喫煙によって普段タバコを吸っていない方が疾病のリスクに曝されるという事に対して私たちはどうすればよいのでしょうか?受動喫煙を防止する為には医療の範囲を越えた社会的な取り組みが必要です。

20187月に改正健康増進法が可決されました。国や自治体などの行政機関が法律や条例に基づいて、住民を受動喫煙による健康被害から保護する事が大切と思います。

さて今回は、このような受動喫煙を法制化によって防止する事が疾病の予防につながるのであろうか?という事に関しての報告を紹介します。

  • 兵庫県からの報告

兵庫県は神奈川県に次いで、2013年に全国で2番目に受動喫煙防止条例が施行された県です。
 佐藤幸人先生らは、条例の施行前後で兵庫県における急性冠動脈症候群(急性心筋梗塞や不安定狭心症)の発生がどのように変化するかについて調査を行いました。

タバコラム116. 禁煙の日にひとこと(98)〜受動喫煙防止をピシッと法律で徹底することが心疾患予防につながる!兵庫県からの報告から〜_d0128520_16315620.jpg

結果は、条例の施行前後で兵庫県全体では急性冠動脈症候群の入院患者数は変化しなかった(1)のですが、兵庫県の中でも神戸市に限定して解析を行うと、条例施行の1年後、2年後と明らかに急性冠動脈症候群の入院患者数が経時的に減少しました。 (2,)

タバコラム116. 禁煙の日にひとこと(98)〜受動喫煙防止をピシッと法律で徹底することが心疾患予防につながる!兵庫県からの報告から〜_d0128520_16320424.jpg
タバコラム116. 禁煙の日にひとこと(98)〜受動喫煙防止をピシッと法律で徹底することが心疾患予防につながる!兵庫県からの報告から〜_d0128520_16322069.jpg
 兵庫県のその他の地域ではみられなかった急性冠動脈症候群の有意な患者数の減少が、神戸市ではみられた理由としては、神戸市は県庁所在地であるため、受動喫煙防止条例の法制化が徹底された為であろうと考察されています。

一方で、神戸市以外の地域では、不安定狭心症による入院が増加傾向を示しました。()

この件に関しては、受動喫煙防止条例が飲食店などでは徹底されなかった為ではないかという考察がされています。(詳しく知りたい方は Circ J 2016;80:2528-2532(図3を参照してみてください。)

タバコラム116. 禁煙の日にひとこと(98)〜受動喫煙防止をピシッと法律で徹底することが心疾患予防につながる!兵庫県からの報告から〜_d0128520_16321211.jpg

受動喫煙防止条例によって心疾患が予防される可能性が示されていると思いますが、一方で、徹底されない受動喫煙の防止は健康被害を予防できないかもしれないという事も懸念されます。

改正健康増進法でも100㎡以下の飲食店は屋内禁煙が規制対象外になるなど徹底されていない部分が目につきます。まだまだこれから改善していく余地はある様に思いますが、皆さんはどのように思われますか?

                 禁煙促進チーム 生田卓也


# by hiro-nishi-mc | 2019-11-29 16:37 | タバコラム
タバコラム115. 禁煙の日にひとこと(97)〜米国で電子タバコによる急性肺障害の報告!〜

 タバコラム115. 禁煙の日にひとこと(97)
  〜米国で電子タバコによる急性肺障害の報告!〜


 この1~2ヶ月くらいの間に米国で電子タバコ(e-cigaretteあるいはvapingと称されている)による急性肺障害の報道が続き、823日には初めて電子タバコ使用者に死者が出たと日本でも大きく報道されました。

 日本語の解説記事もネット上でいくつか公開されており、その中に105日発表の『「電子タバコ」パンデミック〜米国で何が起きているのか』と題する石田雅彦氏の記事が引用文献もたくさん紹介されてとても詳しく書かれています1)

 2019
103日時点で1,080例の肺損傷症例と18人の死亡があり、患者の約70%は男性、約80%は35歳未満です。さらに20191022日のCDCレポートでは電子タバコ関連肺障害は1,604例とさらに増加し、死者も34人に上っています2)
  

 New England Journal of Medicineという有名な学術誌からも、電子タバコ関連記事がいくつかフリーで公開されています3)。その中で『Pathology of vaping-associated lung injury』というタイトルの論文が目にとまりました。

 電子タバコを吸って呼吸器症状、両側肺の異常陰影が現われ、臨床的に電子タバコ関連肺障害(vaping-associated lung injury)が疑われた患者さんの肺組織の一部を生検された17人の患者さんの病理組織所見について書かれています。
 すべての症例で急性線維素性肺臓炎、びまん性肺胞障害、細気管支中心性で細気管支炎を伴った器質化肺炎といった、非特異的急性肺障害パターンを示していました。
 さらにすべての症例に泡沫細胞や肺胞上皮の空胞化が認められ、これが本症の診断の有用な手がかりになりそうだと書かれています。
 但し、これまで報告されているような急性好酸球性肺炎や外因性リポイド肺炎などの病理組織所見は今回の症例には見られていませんでした。

 ニコチンを含むリキッドを加熱して発生する蒸気を吸入するのが一般的な電子タバコですが、肺障害が起こった症例ではTHC(tetrahydro-cannabinol)というマリファナの成分の混在が多かったようですが、どの化学物質が原因で急性肺障害が起こったのか、まだ十分に特定できていない現状であるようです。

 日本ではタバコ葉を加熱する製品は扱えるが、ニコチン入りのリキッドの加熱は薬事法上扱えないということになっていて、米国の状況をそのまま日本に当てはめることはできませんが、電子タバコ使用時の吸引物質の中に肺に有害な化学物質が含まれている可能性があり、日本の電子タバコ愛用者にも注意を呼び掛けていく必要がありそうです。

タバコラム115. 禁煙の日にひとこと(97)〜米国で電子タバコによる急性肺障害の報告!〜_d0128520_11580805.jpg
図:「電子タバコ」パンデミック~米国で何が起きているかの記事より


参考インターネットサイトサイト


1)https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20191005-00145393/

2)https://www.cdc.gov/tobacco/basic_information/e-cigarettes/severe-lung-disease.html

3)https://www.nejm.org/vaping


禁煙促進チーム 立山義朗




# by hiro-nishi-mc | 2019-10-29 12:05 | タバコラム