第4回画像による病理診断クイズ 解答
画像の所見:画像1
HE弱拡大(対物×4):紡錘形細胞が束状あるいは渦巻状に配列して密な部分(Antoni A type)と疎な部分(Antoni B type)の両者がみられる。
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HE強拡大(対物×20):細胞が密な部分では軽い屈曲を示す紡錘形核が柵状に配列して暗調な部分と明るい部分とが交互に並ぶ像(Verocay body)を形成する。
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HE強拡大(対物×20):細胞が疎な部分では小型類円形細胞が周囲にリンパ球浸潤、新旧の出血、血管壁の硝子様肥厚、血管内腔に血栓形成などを伴って出現する。
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S100蛋白の免疫染色中拡大(対物×10):やや過染気味だが、神経鞘細胞などに多く含まれるS100蛋白を用いた免疫染色にて増生細胞は強陽性を示す。
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HE強拡大(対物×40):しばしば大型で核クロマチンの濃染した異型的な細胞が出現する。
以上より病理組織診断は神経鞘腫(schwannoma)です。注意が必要なのは、神経鞘腫ではしばしば大型で核クロマチンが濃染した、悪性を疑いたくなるような細胞が出現することです。これらの異型的な細胞の出現があっても、核分裂像は全く見られないので決して悪性腫瘍とまちがわないように。
病理組織診断:神経鞘腫(schwannoma)