第2回病理診断クイズの回答です。
このクイズコーナーは病理形態診断の専門領域なので、見ても何が何やらさっぱりわからん!と思うかも知れませんので、『もっとこんな風にしてはどう?』というアドバイスやご意見・ご提案などありましたら、ぜひ当方(立山:tachiyama@hiroshimanishi-nh.hosp.go.jp)までお知らせください。どうすればもっとおもしろくなるだろうかといろいろ試行錯誤している段階ですので。
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第2回の解説です。
問題に周堤を有する2cm第の潰瘍とありますが、胃の潰瘍です。臓器名がなく失礼しました。
さて、写真を順に説明します。
画像1:胃生検でつまりとられた3個程度に分かれた小さな組織片です。
青く見える部分(細胞の核が密集)が広汎に見られ、何やら異常な細胞増殖集団がありそうです。
画像2:少し拡大を上げると、既存の胃粘膜組織はほとんど見られず、不規則に細胞集団が集まっているのがわかります。
画像3:右上のピンク色の部分は浸出物に好中球など炎症細胞の核破砕物が混在した壊死組織(=文字通り部分的に壊れて死んだ細胞集団)です。
大部分は細胞の集まった領域(濃い青い部分)で、これらは通常のリンパ球よりは大きく、核クロマチンの濃染した異型的(=正常とはちがった形状)なリンパ球類似の異常細胞です。
前回の低分化腺癌かも知れないし、悪性リンパ腫も疑われるのでまずリンパ球マーカーの有無を免疫染色という方法で鑑別します。
写真のようにBリンパ球マーカー(CD20)陽性であり、
B細胞性悪性リンパ腫(本例は細胞が大型なので
びまん性大細胞型Bリンパ腫)と診断されます。
この写真で抜けて見えているところは既存の胃粘膜上皮です。