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タバコラム90.禁煙の日にひとこと(72)~東京都受動喫煙防止条例案発表と喫煙と糖尿病発症リスクについての論文から~
タバコラム90.禁煙の日にひとこと(72)
~東京都受動喫煙防止条例案発表と喫煙と
糖尿病発症リスクについての論文から~
暑い夏がやっと終わり秋の気配がしてきました。
禁煙促進チームの生田です。
*東京都が受動喫煙防止条例案 2020年の東京オリンピックを控えて、先日、東京都が
受動喫煙防止条例案を発表しました。
条例案は現段階ではあくまでも案に過ぎないので、これに対して都民の意見を10月6日まで募るとの事でした。 喫煙対策は自治体によって異なっており、全国一斉に法制化される事ではないでしょうが、首都東京の動向は他県にも影響を及ぼすかもしれませんね。
広島では第3種施設(飲食店、物品販売店舗等)は管理者が施設の入り口に「禁煙」、「分煙(分煙の内容)」、「喫煙可」のいずれかの表示をする義務がありますが、これは罰則のない強制力のない義務とされている様です。
*喫煙が2型糖尿病の発症リスクを高める さて、喫煙に関する医学の話題を探していた所、見つかりました。
国立国際医療センターのShamima Akter先生、溝上哲也先生らの論文によると、日本において喫煙と2型糖尿病の発症リスクに関する前向き観察研究をメタ解析したところ、
現在、タバコを吸っている方は、喫煙歴のない方と比べて1.38倍、2型糖尿病を発症するリスクがある。過去にタバコを吸っていた方は、1.19倍のリスクがある事が判ったそうです。
また、
1日当たりの喫煙本数が増えるのに比例して2型糖尿病の発症リスクも上昇するといった知見が得られたそうです。
さらに
受動喫煙によっても2型糖尿病の発症リスクが20%高まるそうです。
肥満や運動不足、栄養過多以外にも、喫煙が糖尿病の発症リスクに関わっているとは驚きですね。
*2型糖尿病の発症に対する禁煙の効果 禁煙すると糖尿病の発症リスクはどうなるかというと、禁煙期間が延びていくにつれて、発症リスクは減っていき、10年以上禁煙を続けると喫煙歴のない方と同程度のリスクになるそうです。
一方で、禁煙に伴って体重が増加するため、糖尿病の発症リスクが高まるという報告もあり、この辺りは今後も議論のある所かもしれません。
皆さんはどう思われますか?
禁煙して体重が増加し糖尿病の発症リスクが高まることもあるかも知れませんが、タバコが原因の多くの病気の発症を考えると、禁煙のメリットの方がはるかに大きいですね。
(広島西医療センター総合診療科 生田卓也)