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タバコラム70.禁煙の日にひとこと(52) ~タバコは運動器にも負の影響あり?!~
タバコラム70.禁煙の日にひとこと(52)
~タバコは運動器にも負の影響あり?!~
タバコは、多くのがんや生命に直接かかわる様々な疾患のリスクファクターとなることが広く知られています。
一方、身体活動を行うのに必要な
運動器(骨、関節、筋肉、腱や神経など)にもタバコの影響が指摘されています。
今回は
、脊椎の椎間板と肩の腱板について紹介します。
これらの組織は、もともと
加齢により変性(質の変化)することが知られており、
外傷なども加わり損傷することがあります (下図)。
【腰椎椎間板変性と腱板断裂(この画像はニコチンとは直接関係ありません)】
動物実験研究では、タバコの主成分であるニコチンによって、椎間板や腱の細胞の正常な代謝や血行が阻害され、組織が変性することや(1,2)、腱板修復術後の組織の回復が遅延する傾向があることが証明されています(3)。
これらの研究は、ニコチン摂取量の影響も考慮する必要があり、人体で直接証明されたものではありませんが、
タバコは生活の質にかかわる運動器にも負の影響を及ぼす可能性があるようです。
禁煙の日(毎月22日)をきっかけにタバコをやめてみませんか!!
参考文献
1) LOW BACK PAIN Up To Date 腰痛の基礎-病態と成因 喫煙と椎間板変性.
松崎 浩巳, 若林 健, 徳橋 泰明, 岩橋 正樹, 植松 義直, 小田 博.
脊椎脊髄ジャーナル (0914-4412)13巻6号 Page457-461(2000.06)
2) Alteration of the material properties of the normal supraspinatus tendon by nicotine treatment in a rat model.
Ichinose R, Sano H, Kishimoto KN, Sakamoto N, Sato M, Itoi E.
Acta Orthop. 2010 Oct;81(5):634-8.
3) Nicotine delays tendon-to-bone healing in a rat shoulder model.
Galatz LM, Silva MJ, Rothermich SY, Zaegel MA, Havlioglu N, Thomopoulos S.
J Bone Joint Surg Am. 2006 Sep;88(9):2027-34.
(禁煙促進チーム 整形外科医長 永田義彦)