13.タバコと病気(7)喫煙と膀胱がん
喫煙と循環器疾患や呼吸器疾患、特に肺がんとの関連はよく知られていますが、意外と知られていない病気に
「膀胱がん」があります。膀胱は下腹部にあり腎臓で作られた尿をためて、排尿のときは尿を押し出すポンプの役割をする臓器です。
膀胱がんはその膀胱の粘膜から発生する悪性腫瘍ですが、
症状としては痛みも何もなく血尿が出るというものです。
早期に診断できれば尿道からの内視鏡手術で完全に切除することができますが、再発しやすいという性質があり、一度膀胱がんに罹った人は継続した定期検査が必要です。進行した状態で見つかったものは、膀胱を全部摘出する手術や、抗がん剤による治療、放射線治療を行いますが、予後は必ずしも良好とは言えません。
このような膀胱がんは、喫煙や塗装などに使われる有機溶剤(シンナー)などの外因物質により発生率が増加するということが明らかになっています。着物の染め物職人さんや塗装工の人たちなど、日常的に有機溶剤に暴露されやすい職業の人は泌尿器科に検診で通院される方が多いのが実情です。
同じように
喫煙も膀胱がんの発生と深い関係がありますから、喫煙者の禁煙を促進することは膀胱がんの発生を少なくするために有用であると考えます。
タバコを吸われる皆さん、膀胱がんという恐ろしい病気も知っておいてください。
ぜひ禁煙して、健康で病院に通わなくてよい生活を送るようにしましょう。
禁煙促進チーム 泌尿器科 浅野耕助