明けましておめでとうございます。
予定よりちょっと遅くなりましたが、第1回 画像による病理診断クイズの解答です。
病理医が毎日顕微鏡で何をのぞいているのか、今回から少しですけどお見せします。
病理医自身の診断がまちがっていたらどうするかって?
一応、診断が正しいと思っている(つもりの)症例を選んで出しますのでご心配なく。
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第1回の解説:
弱拡大:まず全体をながめて、診断のために有用な箇所にねらいを定めます。大半は壊死性組織(潰瘍底)で、この部分だけだと診断に至らないことがあります。
中拡大:正常の構造がみられず、正常にはみられない、大型で濃く染まる核をもつ細胞集団がみられます。腺管構造はあまりはっきりしません。
強拡大:強拡大では細胞の特徴を観察します。細胞質が比較的広い異常な細胞集団であることがわかります。
以上より、
低分化腺癌(Group V) と診断しました。
内視鏡的に悪性リンパ腫も疑われていましたが、癌では陽性ですが、悪性リンパ腫では陰性となるAE1/AE3(サイトケラチン)の免疫染色では陽性でした(下図)。